むかし・むかし・・・神代のお話しです。

今回は、石鎚山にちなむもっともポピュラーな伝説をご紹介します。

-石鎚の神の投げ石- 

 その昔、石鎚山の男神様と伊曾乃の女神様とが石鎚山を源流とする加茂川の土手で出逢いました。・・・いつしか二人は恋仲となり、親しく月日を重ねていきました。

そんなある日、男神様は石鎚山頂で修行を積むときが来たのでしばらく下山できないことを女神様にお告げになりました。それを聞いた女神様は、山頂についていくとおっしゃいましたが、石鎚山は女人禁制のため女神様の同行は許されません。

そこで男神様は「私が山頂に着いたら三つの大きな石を投げるので、真ん中の石が落ちた所(三つの石が落ちた真ん中とも)に館を造って待っていてほしい。下山したらその館に女神様を訪ねて行くから・・・。」と言い残して山頂へ修行に登って行きました。間もなく石鎚山から三つの大きな石が飛んできました。そして、女神様は真ん中の石が落ちたところに今の伊曾乃神社(西条市中野甲)を造営され鎮まりました。

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↑伊曾乃神社鳥居元の投げ石

※さて、その三つの大石ですが、現在も伊曾乃神社入口の大鳥居元にあるのがその一つとされ、男神様の手形がついているともいわれています。後の二つですが、諸説あり伊曾乃神社境内に二つ落ちたとも、またその内の一つは大三島に、あるいは西条市小松町大郷に、さらには西条市兎之山に落ちたとも伝えられています。

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↑兎之山地区にある投げ石

※ちなみに、大郷と兎之山に落ちた大石は現在も確認することができます。兎之山に落ちた大石は、夜泣きをするとか「又兵衛のチンカラ、チンカラ・・・」といいながら夜中になると小高い丘から村の畦道まで転がり落ちて、朝になると元の場所に戻っていると伝えられています。さらに後日談として・・・、祈祷師に拝んでもらうと「石鎚の神の投げ石」であることが分かり、毎夜石が転がり落ちる畦道にお地蔵様を祀り拝んでからは、大石が転がり落ち、夜泣きをすることも無くなったそうです。このお地蔵様は、今も兎之山地区の投げ石がある直ぐ下の畦道に祀られています。

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兎之山地区に祀る地蔵尊

※こんな説も・・・男神様は、修行が終わり下山した後、忙しさにかまけて伊曾乃の女神様を訪ねて行きませんでした。怒った女神様が、追いかけてきたらどうしよう・・・と気を揉み、思わず天に昇ろうとして右足を上げた御姿が石鎚蔵王大権現の御姿だというものです。
文責/リチャード

 

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